韓国・ソウル中央地裁は2022年1月8日、2016年1月に訴訟が始まった慰安婦訴訟に対し、日本政府に賠償を命じる一審判決を宣告しました。これにより日韓の関係が更に悪化して文政権が危機的状況になりそうです。また、この損害賠償請求訴訟の判決が韓国国内でも波紋を広げています。そこで今回は、損害賠償請求訴訟の判決に 韓国のネット世論さえもが怒りをあらわにした理由について見ていきましょう。

日本を激怒させる判決ソウル中央地裁は2022年1月8日、元慰安婦12人が日本国を相手に提起した損害賠償請求訴訟で、原告たちの請求をすべて認容し、日本政府に原告1人当たり1億ウォン(約950万円)の賠償金を支払うように命じました。これは一審判決ですが、

国際法上の「主権免除」(国家が他国の裁判で被告にならないという原則)の主張を貫いている日本政府は控訴しない方針を明らかにしているため、事実上の最終判決となります。このまま判決が確定すれば、韓国国内の日本政府の財産が差し押さえられる事態も想定されています。この判決結果は、韓国が日本に爆弾を投下したと同等の卑劣な行為だと専門家は言います。

韓国メディア・外交は冷淡な反応

日本では誰もが怒りをあらわにするものですが、韓国ではこの判決に対してどのように受け止められているのでしょうか?慰安婦問題の関係者からは、「歴史的な勝訴判決」との声が挙がる一方で、意外なことに韓国の大手メディアや日韓外交の専門家、ネット世論では、この判決に対して冷淡な反応が続いています。

政界は判決を歓迎今回の判決後すぐに、原告側のキム・ガンウォン弁護士は「感慨無量だ」と感想を述べました。そして記者から、「日韓関係がさらに悪化するかも知れないがどう思うのか?」と質問されると、「文明国家を自負する日本が1945年の敗戦後、このような反人道的で、反文明的な問題さえ解決していないこと自体が話にならない」 と答えました。

また、強制執行の可能性についての質問には、「強制執行が可能な日本政府の財産があるかどうかをまず検討しなければならない」と即答を避けました。そして元慰安婦を支援する7つの慰安婦関連団体は「日本軍『慰安婦』問題の新たな地平を切り開いた歴史的な勝訴判決を歓迎する!」との共同声明を発表しました。彼らは声明書で、「この判決は国際人権法の人権尊重の原則を確認した先駆的な判決」

「人権保護の新たな地平が開かれた」と手放しで評価しました。また政界でも、文在寅大統領を支える与党「共に民主党」も、「長い時間がかかったが裁判所の判決を尊重します。依然として歴史を歪曲している日本政府に失望感を隠せません。『損害賠償の消滅時効』を理由に被害者の訴えに背を向け、一貫して厚かましさを保ってきた日本政府が、この判決をきっかけに歴史を直視することを願っています」 と声明を出し判決を歓迎しました。

文大統領は沈黙判決直後、駐日韓国大使を招致して「強い遺憾」を表明した日本政府とは対照的に、文大統領は、一日中沈黙しました。この日の午後、大統領府の報道官室で行われた非公開式の報道機関などに対して行う簡単な事情説明では、今回の判決と、日本政府が「遺憾」を表明したことに対する大統領府の立場を問う記者の質問が多くありましたが、「外交部が説明するだろう」という言葉だけを繰り返しました。

その後外交部は、「政府は裁判所の判断を尊重し、慰安婦被害者の名誉や尊厳を回復するためにすべての努力をしていく」「政府は2015年12月の韓日両国政府間の慰安婦合意が、両国政府の公式合意という点を確認する」「判決が外交関係に及ぼす影響を綿密に検討し、韓日両国における建設的かつ、未来志向的な協力が続けられるよう、諸般の努力を傾けていきたい」という短い論評を出すに留まりました。

慰安婦合意を無効化にしたが…文大統領は、大統領候補時代から、2015年の日韓慰安婦合意について強く反発してきた経緯があります。2017年5月の政権発足直後には、外交部内に「慰安婦合意プロジェクト」を設け、「朴槿恵政権の慰安婦合意には手続きと内容に重大な瑕疵があった」との結論を導きました。さらに2018年11月には、日韓慰安婦合意に基づいて設立された「和解と癒しの財団」を解散し、合意を事実上無効にしました。

しかし一方では、文大統領は「日本政府に合意破棄や再交渉を要求することはない」という態度を見せてきました。今回の慰安婦訴訟の判決後も、外交部がわざわざ「2015年の慰安婦合意が、両国政府の公式合意という点を確認する」と強調したのは、慰安婦合意が事実上無効化されたとはいえ、外交部が「韓日関係の破局だけは防がなければならない」という切迫した意識を持っている現れだと、韓国メディアは分析しています。

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韓日関係改善を論議している最中にまた一つの弾が爆発した」「最も大変で困惑しているのは韓国政府だろう」と批評しました。そして韓国の『中央日報』には、専門家の主張として、「米国は、慰安婦合意を評価する立場だったが、今回の判決で解決済みの事案を韓国がまた取り出したと見ることができる。日本はこれを利用し、韓国は嘘をつく国だ。

再び振出しに戻ろうということかという論理を展開する可能性がある」掲載しました。更に『朝鮮日報』には、「率直に言って韓日関係は答えが見えない」という政府関係者の言葉を引用し、「外交部は内部的に“訴訟却下”の可能性に重視してきたが、予想外の判決に困惑しているという。元慰安婦らに対する国民の声援とは別に、この判決が韓日関係にとって予期しない変数になった」指摘しました。